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6話

最近、渋谷は何かを悩んでいるようで
何を聞いても教えてはくれようとしないんだ。

助けてあげたいのに……………僕には無理なのかな?

やっぱり渋谷の記憶を取り戻せるのは彼しかいないのか………。






#6 失われた記憶






渋谷が記憶がなくしたまま1週間が過ぎた。

渋谷は持ち前の明るさで家族とも普段と変わりなく元に戻ってるけど
やっぱりどこかに遠慮をしたりして違和感がある。

僕と話しているときだってどこか上の空だったりして
何かを悩んでいるように見えた。


「…………渋谷?」

「ぇ……あ、あぁ。どうかしたか?」

「何か悩んでるなら僕に相談してもいいんだよ?」

「やだなぁ~、悩みなんてないよ。 むしろ幸せボケしてる感じ?」


そう言って笑い飛ばすと話しを変えてしまう渋谷に僕は胸が苦しくなる。

だってこの前……いつもよりちょっと早めに病院に行ったとき。
僕は渋谷が泣いているところを見てしまった。

渋谷は僕に気付いてなかったからしらないだろうけど。


入院中の夜、1人でいる寂しさ。
何をしても思い出せないことへの苛立たしさ。
いつもそばにいる僕の事を思い出せない悔しさ。
優しく接してくれる家族のことを忘れている悲しさ。
なかなか怪我が治らなくてあまり歩き回れない苦しみ。


たくさんの事が渋谷を悩ませている。


「なぁ、村田……。
 お前も何か悩んでるようにみえるけどさ、何かおれに隠してる?」

「……………え?」


渋谷に言われて正直驚いた。
そんな風に見えないように隠していたつもりだったのにな。


「やだなぁ~、悩んでるように見えたかい?
 実は僕には目を開けたまま寝るという特技があってね~」

「はぁっ!? 目を開けたまんま寝るとかありえねー!!!
 さすが村田だなーというか、それって特技っていうのか?」

「だって渋谷には出来ないだろ? だから特技でいいんだよ。
 ちょっとプチ自慢大会に出れそうな感じでお得なんだよー?」

「いや………目を開けて寝てても誰も気付かないと思うぞ……」


冗談交じりに返せばそれを信じたのか渋谷はそれ以上聞いては来なかった。

渋谷には眞魔国という国を動かしていくという仕事がある。
長い間あちらに行かないと体が地球に慣れて、
あちらには行けなくなる可能性もでてくるだろうし…………。

しかし記憶を無くした渋谷を連れて行っても混乱するだけだ。
今はまだ…………もう少しだけ教えない方がいいかもしれない。


「彼なら……記憶を取り戻せるかもしれないな………」


ぽつりと呟いた言葉が渋谷に聞こえたのか僕に聞いてくる。


「……村田、彼って誰?」

「あぁ、渋谷の知り合いだよ。よく一緒にいたからさ」

「へぇ~……誰だろ?
 おれが事故ったの知らないのかな?」

「う~ん、ちょっと遠いところにいるから知らないと思うよ」

「………そっか」


ちょっと残念そうに遠くを眺める渋谷がどこか寂しそうで。
彼の存在を覚えているのかと思ったがそれはないなと首を振った。


「そんなにガッカリしなくてもさ、明日連れてきてあげるよ」

「………え?」

「何か思い出せるかもしれないしね~。
 それじゃ、今日は用事があるから早めに帰るよ」


あっちに連絡して彼を連れてこれるように手続きをしなくては。
家に帰ると僕は風呂場に向かった。

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